中耳炎とは?
中耳炎とは、中耳の中に雑菌な
どが入ってしまい、炎症が起き
ている状態のことです。
人間の耳は、耳の外側(耳介) から鼓膜までの「外耳」、鼓膜から
耳小骨までにかけての「中耳」、耳小骨から内側の「内耳」に分け
られます。その中でなぜ、中耳が炎症を起こすのかというと、中耳
が耳管と呼ばれる、耳の奥にある器官と直接的につながっているか
らです。中耳炎と聞くと何か特殊な菌が引き起こす病気と思われ
がちですが、実は一般的な細菌が原因であることがほとんどです。
中耳炎を引き起こす菌は、まずは鼻や喉で活動、増殖
します。これが急速に進行すると、鼻と喉の奥
にある耳管の入口にも広がっていき、
中耳に炎症を起こしていくのです。
中耳炎の種類と症状
中耳炎の種類には主に分けて3つの種類があります。
順番にその分類と各症状の特徴について説明していきます。
急性中耳炎
中耳炎患者の中で最も多い症状のパターンが、この急性中耳炎です。上でも示した、鼻や喉に感染、増殖した菌が耳管を通って中耳に炎症を起こす症状です。まだ病気に抵抗力の少ない子どもに多く見られます。耳痛や鼓膜のはれ、耳垂れと同時に、発熱も起こります。通常、数日~10日で症状は治まりますが、なかなか全快せず長引いたり、何度も急性中耳炎を繰り返し起こしてしまう「反復性中耳炎」になることもあるので、しっかりとした診察を受けて、抗生物質を服用する必要があります。
滲出性中耳炎
(しんしゅつせいちゅうじえん)中耳の「鼓室」や「中耳腔」に滲出液と呼ばれる液体が溜まっていってしまう病気です。
滲出性中耳炎は、急性中耳炎とは異なり、耳の痛みや発熱はありません。しかし、ほとんどの場合難聴になります。この病気も、抵抗力の弱い子どもや耳の感覚を気にしなくなった高齢者に多く見られます。
症状が軽度のものなら早くて1ヶ月ほどで完治しますが、場合によっては完治まで数年かかってしまうこともあります。また、急性中耳炎から滲出性中耳炎に移行することもあります。急性中耳炎の回復期では通常、中耳腔に溜まった滲出液(膿)は耳管から鼻や喉に流れていきますが、何かのきっかけで耳管の機能が低下することにより、滲出液が中耳腔内にとどまったままになってしまうこともあるからです。
慢性中耳炎
慢性中耳炎は、別名化膿性中耳炎とも言います。
人の身体は、中耳炎の症状がひどくなると、鼓膜に穴が開き、中の膿を排出しようとする自然排膿が起きます。その穴が症状の長期化や、治り方が不十分だった場合に慢性中耳炎となります。症状としては、耳垂れや難聴などの症状が主に生じます。難聴も初めは伝音難聴という形ですが、鼓膜の穴が大きくなっていくと内耳にも影響を及ぼすようになり、感音難聴になっていってしまいます。ここまで症状が進むと、耳の聞こえは相当悪くなります。
これらは、同時に複数の症状として出ることもあります。
少しでも耳が痛かったり、違和感を覚えたら早めに診察してもらいましょう。
上記の3種類の症状について、それぞれの治療法を説明していきます。
また、当クリニックでは、通常手術時に使われる精巧な内視鏡を使用して、
治療後の時間の経過とともに耳の状態がどのように変化・改善していっているかを観察していきます。
※下の病名クリックで、治療法がご覧いただけます。
急性中耳炎の治療法 ▼
(クリックすると表示されます)
▶ 急性中耳炎
器械によって鼻水を吸引してばい菌の数を減らします。症状が重い場合は鼓膜に穴をあけて中のうみを抜く処置をする場合もあります。
また、抗生物質の飲み薬や点耳薬を使用します。風邪の症状があれば風邪薬も併用する場合もあります。
滲出性中耳炎の治療法 ▼
(クリックすると表示されます)
▶ チューブ留置療法
何度も中耳に滲出液が溜まってしまって、その度に鼓膜切開手術を行っている患者に対して行う治療法です。鼓膜に開けた穴がふさがらないように鼓膜にチューブを通す施術を行うことによって、中耳の中が常に空気に触れている状態を作り出し、中耳の粘膜が正常に機能するようにします。しかし、チューブが抜け落ちる頻度は人それぞれであり、施術後1年程度は中耳炎再発の有無をチェックする必要があります。
▶ 内服療法
滲出性中耳炎の症状が比較的軽い場合や鼓膜切開手術後の再発を防止することを目的に数種類の内服薬を用いる場合があります。どちらの場合においても、最低でも2ヶ月、普通は3ヶ月ほど服用を継続し、経過良好を確認していく必要があります。
▶ 鼓膜切開
鼓膜切開は、読んで字のごとく、鼓膜を切開する手術です。手術を受けてすぐ大きい効果が表れ、その後の症状予防につながる方法です。
▶ その他の治療法
鼻から空気を圧力をかけて入れる通気療法を続けることもあります。鼻にゴムの管をつけ、「ラッパ」などと声を出してもらい耳管を開く治療です。また鼓膜マッサージという、耳に空気が出る装具をつけ、鼓膜を刺激する治療を行うこともあります。
慢性中耳炎の治療法 ▼
(クリックすると表示されます)
▶ 保存的治療
耳だれを止めて、できるだけ症状を軽くすることを目指します。外耳道、中耳の消毒、洗浄、抗生物質の点耳などを行います。細菌の種類によって治療方法が変わりますので、菌検査を行ってどのような薬が適しているか調べることもあります。
▶ 外科的治療
外科的治療の基本的な考え方は、空いている鼓膜の穴を閉じるということです。CT検査で中耳の状態を確認し、鼓膜の閉鎖、耳小骨の構造の不具合があればこれらを修正するちりょうです。耳の中からだけで鼓膜を閉じることができる場合もあります(鼓膜形成術)が、鼓膜の穴が大きい場合は耳の後ろを切開して、そこから自分自身の筋膜をとり、鼓膜の穴を塞ぐ治療(鼓室形成術)が必要となることもあります。
大人の中耳炎
大人も風邪が発端でかかってしまう急性中耳炎もありますが、子供ほど頻度は多くありません。
ただ、鼻風邪をひいている状態で無理な耳抜きをしたり、強すぎる鼻かみをすることで自ら急性中耳炎を起こしてしまう方もあります。
頻度として多いのは、滲出性中耳炎です。加齢とともに耳と鼻をつないでいる耳管の機能が悪くなり、中耳に液体がたまります。ご高齢の方で、加齢による治らない難聴だと思って来院されたが、本当の難聴の原因はこの滲出性中耳炎で、治療をすることで聞こえが劇的に改善することもよくあります。
鼓膜切開について
急性中耳炎でも、滲出性中耳炎でも、
中耳に滲出液が極度に多く溜まってしまった患者
に対して、鼓膜を切り開いて耳の通りを良くする
手術を行う場合があります。滲出液の除去と、
鼓膜内外の圧力差をなくす効果があります。
手術は、鼓膜に局所麻酔を施し、1~2ミリ程度の穴を開けて、中の滲出液を除
去するだけなので、ごく短時間で進められます。
また、鼓膜に穴が開いてしまうと、耳が聞こえなくなってしまうのではないかと
心配する方ありますが、1~2ミリメートルほどの穴であれば、
変化があったとしてもわずかに聴力が落ちる程度で心配するほど耳の聞こえに影
響はありません。また、手術で開ける穴自体も、通常数日でふさがります。
また手術回数が重なったとしても、多くの場合も聴力にほとんど影響ありません。
穴を開けることによって、中に溜まっている液体を出す目的だけでなく、
中耳が外気と交通することで、中耳の粘膜の機能の改善を促す目的
もあります。ただ、切開のみではすぐ閉鎖してしまいますので、鼓膜を
開けた状態を長く保つ方がよいと判断された場合はチューブを入れる
治療を行うこともあります。
中耳炎のQ&A
Q. 中耳炎にかかっている時は、プールなどに
は入ってはいけないと聞いたことがあるのですが、本当ですか?
A. そうとは限りません。ただ、留意点はあります。
急性中耳炎の場合、発熱中はもちろん水に入ることはできませんが、熱が引き、風邪の症状も治まった段階になれば、プールに入っても問題ないことが多いです。
また、滲出性中耳炎も問題ないことが多いですが、鼓膜にチューブを入れる手術をしている場合は、主治医の判断を仰ぐ必要があります。
慢性中耳炎の場合も同じく問題ないことが多いですが、炎症が強い時期は控えておいた方がよいでしょう。
いずれにせよ耳鼻科医の診断を必ず受けていただくべきだと思います。
Q. 子供が鼻水をすする癖があるのですが、中耳炎にならないか心配です。
A. 鼻をすするのは、中耳炎への感染の可能性を高めてしまう行為です。お子様の鼻水が詰まっているのが確認できたらその都度、鼻をかませる習慣をつけさせてください。
Q. 中耳炎を予防する方法はあるのですか?
A. 中耳炎に感染する原因の大元といえるのは、風邪ウイルスの体への感染です。そのため、中耳炎感染を予防するには、風邪をひかないようにすることだといえます。一般的な風邪予防、手洗い、うがい、食事のバランスに気をつける、適度な運動、睡眠をとることなどでしょう。
ただ、風邪を引いてしまった場合の予防策としては、とにかく鼻をすすらないようにすることが重要です。
適度な強さで、鼻をかんで鼻水を出すようにするべきです。
にしかわ耳鼻咽喉科
について
診療時間
診察日時 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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午前 9:00 - 12:30 | ○ | ○ | ○ | ― | ○ | ◎ |
午後 4:00 - 7:00 | ○ | ○ | ○ | ― | ○ | ― |
■木曜、日曜、祝日は診察をお休みしております。
院長紹介
はじめまして。
勤務医を続ける中で、初期治療の大切さ、疾病予防の必要性を痛感しました。
病気が悪化する前の早期発見、早期治療ができないかとの思いが強くなりました。
生まれ育った東大阪に、今まで経験させていただいた私の新しい耳鼻咽喉科知識を提供したいと思っております。
病気で苦しんでいるときは本当に不安です。そういった不安を感じておられる皆様に、
安心して帰っていただけることが私の一番の喜びです。
そして、これからも新しい医療知識を吸収し、皆様に還元させていただきたいと思っています。
来られる皆様にそれぞれの方にあった「適切」で「安心」な医療を提供できるよう、精一杯努力していきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
医学博士
日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
にしかわ耳鼻咽喉科 院長 西川 匡
住所
〒577-0034
大阪府東大阪市御厨南2-1-1
八戸ノ里HIRO ビル2F
アクセス方法
「近鉄八戸ノ里駅」より北へ
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